700マガジン
フットゴルフワールドカップ ~その2~
2021.10.20
「ワールドカップ」
この言葉に皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
後にフットゴルフ日本代表としてフットゴルフワールドカップへの出場を果たすことになる選手たちにとっての子供のころやフットゴルフに出会う前のワールドカップのイメージを聞いてみました。
「子供の頃のワールドカップ のイメージは日本が初めて出場した1998年のフランスW杯ですね!特にアジア予選3位決定戦でイランを撃破した岡野選手のスライディングシュートは子供ながら鮮明に覚えています。サッカーってカッコいいな、ワールドカップて凄いなという記憶です。」 (鈴木秀成選手/2016年・2018年大会出場)
「やはりサッカー少年だったのでマラドーナやペレやジーコが活躍し国別の熱い戦いの頂点であるワールドカップには特別な感情がありました。自分も出たいという夢もあったとは思いますが海外の選手のスーパープレーを観るのが何より楽しみでした。」(冨澤和未選手/2016年・2018年大会出場)
「私はサッカーをやっていたので、ワールドカップと言えばサッカーのワールドカップをイメージしますが、Jリーグが始まって最初に行われた94年のアメリカワールドカップの印象がとても強いですね。優勝したブラジル、PKを外したロベルト・バッジオのプレーは今でも鮮明に思い出せます。」 (軍司和久選手/2018年大会出場)
「子共の頃の記憶を遡ると、小学1年生の時に日韓W杯の日本vsトルコの試合を見に行った事です。当時6歳という事もあり、鮮明な記憶はありませんが、雨の中でしたがとても盛り上がっていたのを覚えています。」(平野靖之選手/2018年大会出場)
「子供の頃に見ていたサッカーW杯は、世界最高峰の舞台であり、憧れの舞台でした。なでしこジャパンが優勝した瞬間もテレビの前で応援しており、あの時は感動した反面、自分には到底届かない舞台だと思ってました。」(前田春香選手/2018年大会出場)
「僕の子供のころは40年以上前なので、サッカーのワールドカップといえばアルゼンチンのマラドーナや西ドイツのルンメニゲやブラジルのジーコやイングランドのケビン・キーガンとか、日本なんかが国際大会に出るなんて信じられないアマチュアサッカーの時代でした(笑)」(工藤誠司選手/2018年大会出場)
サッカーの競技経験のないフットゴルフ日本代表選手がいるように、フットゴルフはサッカー経験者だけがやるもの、ということは決してありませんがことワールドカップについては「ワールドカップ=サッカー」というイメージを持つ選手が多いようです。
そんな夢の舞台がフットゴルフにも存在します。
国際フットゴルフ連盟が2012年に設立され、同年第1回フットゴルフワールドカップがハンガリーで開催されました。
日本フットゴルフ協会は2015年に国際フットゴルフ協会に正式加盟。ワールドカップ出場への道が開けます(現状、予選はなく、国際フットゴルフ連盟に加盟していて出場の意向を表明すれば出場可能)。日本が目指す最初の夢舞台は2016年開催の第2回アルゼンチン大会です。
2015年7月に開幕したジャパンオープン。11月のファイナルまでの7戦にワールドカップの代表権が懸かる闘いが繰り広げられました。
各大会で5位以内に入ると、ファイナルの大会に出場でき、ファイナルでの上位5名はその場で日本代表に内定という劇的な舞台が用意されました。
2015年11月8日(日)。栃木県ケントスゴルフクラブ。運命のファイナル。
そのファイナルは変則的大会方式で、午前中に常設コース18ホール(9ホール2周)、午後にゴルフコースを利用したジャパンオープン用コース18ホール、合計36ホールのストロークプレーで争われるという過酷な戦い。
その戦いの様子を語っていただきました。
「W杯メンバーを決めるファイナルは20名で行われ、私を含めたオランダ遠征に行った6名は、これから日本代表を目指す方々から一目置かれていましたし、必ず6人揃って代表に入りたいという思いがありました。W杯の代表を決めるファイナルは、全体で5位に入ればその場で日本代表が確定するレギュレーションであったため、上位を狙い攻めのフットゴルフを展開しました。ここで決めればW杯に出られる、外したら代表から容赦なく落ちるというプレッシャーと闘いながら試合は行われました。当時、大会の後帰路につきながら試合を振り返ったら、心身ともに疲弊していて、大会の記憶がほとんどなかったことを覚えています。それくらい緊張感のある大会でした。」(田中雄太選手/2016年・2018年大会出場)
「良いか悪いかは別にしてこの時はラウンド中に励まし合っていた記憶があります。いいプレーは勿論のこと、うまくいってない時、ミスした時など同じラウンドメンバー(特に一緒にオランダに行った雄太さんとコージャと同組の時)が助けてくれた印象があります。
そのおかげもあって、ファイナルで優勝は出来ませんでしたが晴れてワールドカップ日本代表の座を獲得出来たのではないでしょうか。」(鈴木秀成選手)
オリジナル6の選手たちもギリギリの戦いを繰り広げるなか、絆を感じられるような一面も。敵であり、仲間である。まさにみんなで高め合う素晴らしい姿が見えます。
激闘の末、ファイナルの上位5名が先に内定、そしてジャパンオープンの成績上位者と日本フットゴルフ協会の推薦により代表権を獲得した合計16名の選手たち。
栄光のワールドカップ初代代表メンバーです。
冨沢和未選手(ファイナル優勝) 桑田寛之選手(ファイナル準優勝)
八谷紘希選手(ファイナル第3位) 山縣祐人選手(ファイナル第4位)
鈴木暢也選手 新井晋選手 鈴木秀成選手 コージャ今村選手
安村翼選手 木村勝選手 田中雄太選手 和志武亮選手
樫原篤弘選 高波瀬史人選手 堀之内聖選手 峯尾和延選手
代表に選ばれた時の気持ちについて選手の皆さんに聞いてみました。
「フットゴルフを始めてすぐに一年後にワールドカップが開催されるという話を聞き自分の中にワールドカップというものが目先に映りました。選出の連絡をもらい国内でのトップ争いというものはフットゴルフを始めてから身体に染み込んで切磋琢磨してきましたが、海外での戦いそして子供の頃から心躍らせていたワールドカップに出場できるという興奮が毎日続いていました。ただただ興奮をモチベーションに変えワールドカップでの自身のプレーを思い描きました。」(冨沢和未選手/2016年・2018年大会出場)
「選出時は選ばれてほっとしたとともに、日頃から応援して頂いている方やフットゴルフを日々一緒にプレイしいてるメンバーの分もしっかりと覚悟をもって戦いきろうという思いでした!」(桑田寛之選手/2016年・2018年大会出場)
「初めてフットゴルフ日本代表に選出頂いたのは、2016年にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催された第2回目となるワールドカップでした。フットゴルフを始めてから10ヶ月後のことであり、嬉しい気持ちが一番にはありながらも、日の丸を背負う責任の重さにプレッシャーを感じざるを得ませんでした。」(八谷紘希選手/2016年・2018年大会出場)
「場所はアルゼンチン。普通の生活していたら行かないであろう地。ワールドカップは各国選ばれた者のみが出場出来る大会なので、しかも日本が初めて出場となる大会。沢山の応援に感謝し、日本代表として再び戦える喜びと選ばれなかった選手の分まで精一杯戦うと心に決めました。」(新井 晋選手/2016年・2018年大会出場)
「ワールドカップという響き一つで興奮しました。これまで目指していたサッカーのワールドカップとは違いますが、世界のTOPが集う大会でどこまで自分がやれるのか、ワクワクしていました。」(鈴木秀成選手/2016年・2018年大会出場)
「日本代表選考にあたり日本ランキング10位でした。最初の日本代表発表には僕の名前はありませんでした。選考に不満はありませんでした。まだそこまでの実力が無いということ。ただ何が足らなかったのか選考基準はなんだったのか今後どうすればいいのか明確にしたかったので松浦会長に連絡したのを覚えてます。代表を辞退する選手がいたので繰り上げで僕が選ばれました。どんな形であれ代表は代表。誰よりも上を目指す気持ちだけは強く持ちました。」(峯尾和延選手/2016年大会出場)
そしてこのファイナルでの結果により代表権を逃した選手たちがいます。後の2018年大会で念願の初出場を果たすことになる小林隼人選手もそのうちの1人です。
「自分がフットゴルフを始めたのはキャピタルカップ終了後の最初のジャパンオープンでした。2015ファイナル出場者の半数くらいは同じように新規参入組です。今考えると、キャピタルカップ日本代表選手や惜しくも落選した選手と新規参入選手には、試合に望む覚悟みたいなものにかなり差があったと思います。ヒデたち ※鈴木秀成選手をはじめとしたオリジナル6の選手たち が感じていた一打一打の緊迫は、もしかしたら自分が感じていたものより遥かに大きかったかもしれません。試合の内容自体は実はあまり覚えていないのですが、20人中4人しか落選しない一人に自分が選ばれたこと、目の前にあったワールドカップに行けない事が悔しくて悔しくて。ワールドカップ期間中はSNSを開けませんでした。 代表選手たちの現地からの投稿をみると悔しくて… もう二度とこんな悔しい思いをしたくないと思い、本格的に練習を始めました。今となっては、この早い段階で大きな挫折があったこと良かったと思います。次の2018年のワールドカップに出場するという明確すぎる目標ができて、辛くても努力することができましたから。いま結果を残している選手は、どこかの段階で泣くくらい悔しい思いを経験した選手たちが多いです。本気で取り組んだからこその結果だと思います。」
オランダでの苦い経験を糧に成長を果たした6名の“オリジナル6”の選手たち、そしてそれに追いつき、追い越そうとする選手たちによる鎬を削る戦いが日本のフットゴルフをひとつもふたつも上のステージに引き上げたことは想像に難くありません。
そしてついに決戦の地、アルゼンチンに降り立った日本代表選手たち。
夢と希望の舞台で選手たちを待ち受けていたものとは?
次回はいよいよワールドカップ本大会での激闘の様子をお伝えします。
どうぞお楽しみに!!